ノマドランド・Nomadlandとは
地球とそこに暮らす人間の、もっというと宇宙という広がりの中での “地球という惑星の物語 “ なのかもしれない
クロエ・ジャオ監督はいう
「政治的プロパガンダの映画ではなく, 一人一人の 人間の物語 」だと。
だからこそ、観る人 それぞれに響くところがある
いわゆるプロの 役者は二人だけ。
後の ”役者” は 一般の人たち
(*ノマド生活者支援として登場するボブ・ウェイルズは、ユーチューバー & 作家である本人)
彼らは ”エクストラ (付け足し)” ではなく、物語のタペストリー の重要なタテ糸 ヨコ糸として
セリフを超えた 彼らの骨身からの魂の物語が しっかりと編み込まれる
蟻 から恐竜、45億年の地球の石、その何層もの地層を通り抜けた水、遥か木星から光として地球まで旅をしてくる素粒子。
クロエ・ジャオ監督によって、時間も場所も超えさまざまなものが、時空のタペストリーに、ボンボン 放り投げられ 丁寧に編み込まれていく
マジックアワーの、黄金の太陽の光 黄昏どき茜の空の色 、人の魂の輝き・・・その中で、語り部としての主人公ファーンが、編みものをする…
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Nomadlandの、ノマド (遊牧民)とは、自然に暮らす車上生活者。
身体が 土に還る(かえる)こともままならないコンクリートの中で暮らしていようと、誰もが 地球の遊牧民なのかもしれない…
Ludovico Einaudi の “Oltremare “ – その切ないピアノの調べ にのり、人間の物語は、詩のように紡がれつながり、最後のメッセージとなる
” 最後のサヨナラは言わない
(*人生という道の)先で また 会おう”
There is no final goodbye I will see you down the road
「スリー・ビルボード」のオスカー女優フランシス・マクドーマンドが主演を務め、アメリカ西部の路上に暮らす車上生活者たちの生き様を、大自然の映像美とともに描いたロードムービー。ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド 漂流する高齢労働者たち」を原作に、「ザ・ライダー」で高く評価された新鋭クロエ・ジャオ監督がメガホンをとった。ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーンは、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。第77回ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞、第45回トロント国際映画祭でも最高賞の観客賞を受賞するなど高い評価を獲得して賞レースを席巻。第93回アカデミー賞では計6部門でノミネートされ、作品、監督、主演女優賞の3部門を受賞した。
2020年製作/108分/G/アメリカ
原題:Nomadland