瀬戸内のベネッセアートの直島から、フェリーで20分くらいにある豊島(てしま)
この小ちゃな静かな島には、Christian Boltanski (クリスチャン・ボルタンスキー) の小ちゃな美術館があります

クリスチャン・ボルタンスキー

ボルタンスキーの作品は、個の人間の生きた痕跡がテーマになっていて、まるで人間の形ある外部と形のない内部を結ぶようなアートたち。

豊島にあるのは世界中の人々の 心臓音を集めた、心臓音のアーカイブ(Les Archives du Cœur)
そこでは、自身の40秒の心臓音を採取して、作品の一部として残していくこともできます。

クリスチャン・ボルタンスキー

「インスピレーションを トランスミッション(伝達)しているだけなんだ (ボルタンスキー)」

”私の物語” を残したい人間たちの、生きた証の音は記録されるが、プロジェクトが始まってから もうすでにこの世界から旅立った人もいる。

文字通り だれかの心臓音は、 形はなくなっても だれかのインスピレーションとなり 意識の光としてトランスミット(伝わって)されていく

魂の巡礼

「日本の この離島まで行くことがすでに巡礼なんだ、でも、わざわざ行く必要もない。
意識は、時空をこえてつながっていけるのだから (ボルタンスキー)」

もしそこにすでに旅立った愛おしい人たちの鼓動があるなら、わたしは やっぱり聴きに行きたいかもしれないなぁ。
それはそれで人間らしくていいのかもしれない。

太鼓のようにドシ~ンドシンと響き渡る音、パチパチと線香花火のような音、サラサラとした穏やかな小川のような音、心臓の音ってみんな違うのです。
外の明るい砂浜に出ると、いろんなだれかの鼓動の残音海の音が、一つバイブレーションとなって打ち寄せ、溶けあって、そして消えていく・・・

みんな一つの源からきて、その人だけにしかできない旅をして、またその源にもどっていく

クリスチャン・ボルタンスキー

心臓音をCDにしてくれます

ボルタンスキーは宗教的なアーティストともいわれる。

宗教は善・悪の答えを渡す
が、彼のアート、そして一人一人の人生には何も答えはない
真実は一人一人が 人生の巡礼の旅路で見いだすものだから

 

六本木の、国立新美術館で、クリスチャン・ボルタンスキーの展示が行われています。
(2019年6月12日〜9月2日まで)